ネットの発達とスマートフォンの普及で、従来以上に細切れの雇用が生まれつつあります。
「オンデマンド経済」だというのだそうです。一年前には聞いたこともなかったような言葉ですが、今は多くの人が知っており、「今後拡大するだろうな」という予想のもとに経済・社会を見ていることと思います。
私自身を振り返ると、日雇いのアルバイトを経験した時、「自分には無理だな」と感じました。仕事があるかどうか、どこへ行かされるかが前日の夕方くらいまでわからないというのは非常に不安なものです。結果、生活全体が不安定感に覆われ、視野が刹那的になったことを覚えています。
安定した収入源が別にあって付加的にそうした仕事をするならともかく、それをメインにするのは厳しいのではないでしょうか。特に、家計を支える役割を負った既婚男性などにとっては。
ただ、多様な働き方、働き口ができること自体は、好ましい方向です。やみくもに禁止したり規制したりするのではなく、業界が健全に発展するような賢い規制を設けてほしいものです。一発で「正解」が見つかることは難しいでしょうから、過渡的段階においてはいろんな問題やトラブルが出てくることは、覚悟しておいた方がいいですけど。何かあっただけで「禁止しろ！」という風に振れるとしたら、あまりに短絡的です。
オンデマンド経済があちこちで広まれば、人々の意識や、雇用に関連する諸制度・諸慣行も替わって行かざるをえないでしょう。働く者にとっては、大変な時代です。でも新しい可能性やチャンスをはらんだ楽しみな時代とも言えるのではないでしょうか。
